CAR-T療法
CAR-T療法とは?
CAR-T療法とは、CAR-T細胞を用いた細胞療法です。CAR (chimeric antigen receptor) -T細胞とは、患者さん自身の免疫細胞であるT細胞を遺伝子導入により改変し、がん細胞に対する攻撃力が高くなった細胞です。患者さんの体から一度T細胞を取り出して、人工的に遺伝子を導入することでCAR-T細胞を作ることができます。出来上がったCAR-T細胞を、患者さんに戻すことで治療効果が発揮されます。
当院で実施可能なCAR-T製剤と対象となる患者さん
現在当院では以下の2種類の製剤を用いたCAR-T療法を行っています。
▽ ブレヤンジの対象患者さん ▽
・再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫
・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
・原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫
・形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫
・高悪性度B細胞性リンパ腫
・再発又は難治性の濾胞性リンパ腫
▽ イエスカルタの対象患者さん ▽
・再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫
・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
・原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫
・形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫
・高悪性度B細胞性リンパ腫
CAR-T療法の流れ
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1.治療適応の相談:CAR-T療法について知りたい場合、まずご自身の担当医にご相談ください。 担当医が、治療適応と判断された場合、担当医を通して当施設にご紹介いただきます。 |
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2.リンパ球採取 (アフェレーシス) : CAR-T細胞を作成するため、患者さんの血液からリンパ球を含む細胞を取り出します。 専用の機器を用いて、血液を循環、遠心分離して必要な成分だけ採取し、残りの血液は体に戻します。 |
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3.製造: 採取した細胞は、製薬会社の製造施設に送られます。 細胞の選別、遺伝子の導入、培養を経て製剤が完成します ( 4 - 6週程度 )。 |
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4.ブリッジング治療: CAR-T細胞が製造されるまでの間、 病状が進行しないように、化学療法や放射線治療を行うことがあります。 |
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5.リンパ球除去療法: CAR-T細胞を投与する前に、抗がん剤 (フルダラビン + シクロフォスファミド) による前処置を行います。 CAR-T細胞が効率よく働くために、患者さんの体内のリンパ球を減らす目的があります。 |
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6.CAR-T細胞投与: 完成したCAR-T細胞を体内に投与します。投与後はしばらく副作用が出ますので約1ヶ月程度の入院が必要です。 経過により退院時期は前後すること場合もあります。 |
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7.退院後: 外来で経過観察を継続します。 |
CAR-T療法の副作用
CAR-T療法の副作用には、以下のものがあります。
1.サイトカイン放出症候群 (CRS): 発熱だけの場合や血圧低下や酸素濃度の低下などを伴うことがあります。
2.神経毒性 (ICANS): 振戦 (手指のふるえなど)、字が書けない、日付がわからないなどの症状が挙げられます。
重症になると意識障害や痙攣を起こすことがあります。
3.感染症: CAR-T療法を受けられる患者さんは、これまでの治療で免疫が低下していて、感染しやすく、重症になりやすい状態と言えます。
さらに、CAR-T療法後は、体内のB細胞が著しく減少します。B細胞は抗体を作っているため、CAR-T療法語は低ガンマグロブリン血症になってしまいます。抗菌薬の予防投与や定期的なガンマグロブリン製剤の補充が必要となります。
4.血球減少: CAR-T療法後1-2週間で血球減少が起こります。これは、リンパ球除去療法による影響です。
しかしながら、一度回復した血球が再度低下することがあります。輸血やG-CSF製剤の投与を行いながら、自然回復を待ちます。
最後に
再発難治性の悪性リンパ腫に対して、CAR-T療法はとても有効な治療法です。しかしながら、患者さんやリンパ腫の状況によっては自家移植治療や二重特異性抗体による治療を選択する場合があります。悪性リンパ腫の患者さんは、まず担当医にご相談してください。
担当医の方も、CAR-T療法を検討される場合は、いつでもご相談ください。

