社会医療法人北楡会 札幌北楡病院

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部門紹介

Department

臨床工学技術科

はじめに

臨床工学技術科には臨床工学技士が26名(男性21名、女性5名)在籍しています。臨床工学技士という資格は、生命維持管理装置の操作および保守管理・点検業務を行う専門職です。生命維持管理装置とは、人の生命に関わる機能(心臓・肺・肝臓・腎臓)等の補助・代行をする装置のことで、当院にも人工呼吸器・血液浄化装置・麻酔器等の機器があり、我々は毎日これらの操作および管理を行っています。また、当院の臨床工学技士は医療機器の操作だけではなく、他の医療スタッフの人たちと同様に、臨床の現場に深くかかわって患者さんと接する機会が多いのが特徴です。

業務内容

 当院の臨床工学技士は、主に血液浄化業務※1に従事し、急性期・慢性期の血液浄化治療やアフェレシス※2と呼ばれる治療を人工臓器治療センター※3や急性期病棟、無菌室にて行っています。また、手術室や内視鏡室にも臨床工学技士が配属され、より専門的な業務を行っています。

※1 血液浄化:私たちの身体は腎臓や肝臓等の臓器が働くことで、身体の中の老廃物を身体の外へ出したり、必要な物質を取り込んだりして体内の環境を一定に保っています。もしこれらの臓器が動きを止めてしまったら、老廃物が蓄積し身体の内部環境はバランスを失います。たとえば腎臓が動かなくなると腎不全になります。この場合、腎臓の働きを代行し体内環境を一定に保つ治療が必要となります。この治療の中で一番よく行われているのが血液透析であり、血液浄化の代表的な名称となっています。

※2 アフェレシス:アフェレシスとはギリシャ語で「分離する」という意味の言葉です。血液中の特定の成分を「除いたり」「変化させたり」「加えたり」することでいろいろな病気に対応できないかと考えられたのがアフェレシス治療の始まりです。語源である分離とは、たくさんの成分を含んだ血液を目的に応じて分離・除去したりするところからきています

※3 人工臓器治療センター:主に血液透析を行っているセンターで、以前は血液透析センターと呼ばれていましたが、様々な血液浄化装置を駆使して治療を行っていることから、現在は人工臓器治療センターの名称で運営しています。

人工臓器治療センターにおける業務

人工臓器治療センターでは主に血液透析業務を行っています。血液透析とは腎臓が機能しなくなり、老廃物が溜まった患者さんの血液をきれいにする治療です。血液透析を行うにはきれいな水と透析液を大量に必要とします。水と透析液を作成する装置はEDIシステムや多段階のUFフィルターの使用、熱水消毒を行うことで水質の清浄化を行っています。現在人工臓器治療センターにはon-lineHDF専用機が37台あり、ほぼ毎日水質検査を行い管理しています。また、血液透析装置の保守管理業務に加えて看護師とともに臨床業務も行っており、患者さんとのコミュニケーションを積極的に積み重ねています。そしてそこからより良い治療法を医師やスタッフと総合的に考え、治療にフィードバックできるよう に努めています。

臨床工学技術科1(人工臓器治療センターにおける業務)

臨床工学技術科2(人工臓器治療センターにおける業務)

アフェレシス業務

当院では様々な先進アフェレシス治療を行っています。血漿交換・二重濾過血漿交換・白血球系細胞除去・細胞採取・エンドトキシン吸着・など、いろいろな種類のアフェレシス治療があります。これらの治療において臨床工学技士が治療を担当しています。治療方法や条件、日程について各科の医師やスタッフとの会議を行い、情報共有や意見交換を行うことで最善のアフェレシス治療が提供できるように体制を整えています。

臨床工学技術科3(アフェレシス業務)

手術室における業務

手術室には臨床工学技士6名が配属しています。業務内容は、看護師と連携し手術に必要な道具の準備・手術をする医師のサポートや麻酔器・電気メス・内視鏡装置・手術支援ロボット ダヴィンチなどの医療機器の保守点検・管理業務を行っています。手術室には高度な医療機器が多数あり、始業時・終業時点検と定期点検を行い、患者さんが安心・安全に手術が出来るよう医療機器の面からのサポートをしています

臨床工学技術科3(手術室における業務)

臨床工学技術科4(手術室における業務)

臨床工学技術科の取り組み

ME機器保守管理業務

当院でのME機器保守管理は、臨床工学技士がME機器(輸液ポンプ、シリンジポンプ、パルスオキシメーター、低圧持続吸引器)の病棟への貸し出しやME機器の保守点検(定期点検など)・修理を行っており、病棟に設置してある他の医療機器(人工呼吸器、生体情報モニターなど)に関しても保守点検(定期点検など)・修理を行っています。
 そして、患者さんがより安心・安全に治療を行えるように、ME機器の研修会(操作方法・トラブルシューティングなど)を開催し、看護師や医療スタッフの知識・技術向上に努めています。

内視鏡室業務

内視鏡部門には臨床工学技士が4名配属されています。主な業務として内視鏡室に配備されている機器・処置具の保守管理業務、検査・治療に使用した内視鏡スコープの洗浄消毒などの感染管理業務、消化器内視鏡検査・治療時の医師介助業務を行っています。
当院の内視鏡室では内視鏡検査の他に消化器にできたポリープを切除する内視鏡的ポリペクトミーや消化管からの出血に対する止血術、早期胃がんに対して行うESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、胆膵疾患に対して行うERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影法)及び関連手技など他にも様々な治療を施行しています。そのため準備や介助方法は多岐にわたり専門的知識が必要とされます。また緊急時には昼夜問わず内視鏡検査に対応しています

臨床工学技術科5(内視鏡室業務)

臨床工学技術科6(内視鏡室業務)

高気圧酸素療法業務

高気圧酸素療法とは、大気圧より高い気圧(2気圧)で高濃度の酸素を装置内(高気圧酸素治療装置)に送り、その酸素を吸入することで病変などを改善する治療です。また、加圧することで物理的な作用によって末梢循環の改善も期待できます。治療時間は約90分(加圧15分、治療時間60分、減圧15分)です。2気圧まで加圧するため、気圧の変動による様々な症状が発生しやすくなります。特に、聴器障害(耳痛、圧迫感など)が発生することが多く、耳抜きが必要になります。また、高気圧下で酸素を送気するため装置内では、発火の危険が伴うため、治療前に必ず看護師と臨床工学技士でボディチェックを行っています。更に、治療前後で装置の点検を行い常に安全に治療が行えることを確認しています。治療中必ず、臨床工学技が1名装置のそばに待機し、患者さんが安全に治療できるように観察しています。

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臨床工学技術科の取り組み

当院の臨床工学技士の特色として、北海道内外を問わず学会・勉強会の参加・発表に力を入れています。当科では各分野の学会に参加することで自己の向上や、より多くの知識・技術や最先端の情報を学ぶために毎年数多くの学会で発表をしています。また、各種の認定資格も積極的に取得し、「日本アフェレシス学会認定技士」「透析技術認定士」「3学会合同呼吸療法認定士」「消化器内視鏡技士」「臨床ME専門技士」「医療機器情報コミュータ(MDIC)」等を多くの技士が取得、また取得を目指しています。今後もさらなる知識・技術の向上に努めて、より安全で効果的な治療を提供できるように努力していきたいと思っています。
最後に我々臨床工学技士は、「患者さんに最適な医療を提供すること」という病院の理念を基本として、これからも日々の業務に取り組んでいきたいと思っています。